「ヒナの眸」(1) [児童文学・小説]
「泣くな!」
いつもカンタは怒鳴る。
カンタは、ぬいぐるみの蛇のように見えるけれど、手足がついている。そのぬいぐるみに、風息(かざおき)はいつも叱られている。顔をぐしゃぐしゃにして、鼻を真っ赤にして、目からぼろぼろ涙を流して、人前でも何でも大泣きする。
風息は、こうろぜんのほうの袖で涙をぬぐって、鼻水をぐしゅぐしゅとすすった。まだ、あどけなさが残る。ぱっと見ただけでは十ばかりの少女のように見えるが、れっきとした男の子だった。両側の耳の後ろでふたつに髪を結ってたばねている。
いつもカンタは怒鳴る。
カンタは、ぬいぐるみの蛇のように見えるけれど、手足がついている。そのぬいぐるみに、風息(かざおき)はいつも叱られている。顔をぐしゃぐしゃにして、鼻を真っ赤にして、目からぼろぼろ涙を流して、人前でも何でも大泣きする。
風息は、こうろぜんのほうの袖で涙をぬぐって、鼻水をぐしゅぐしゅとすすった。まだ、あどけなさが残る。ぱっと見ただけでは十ばかりの少女のように見えるが、れっきとした男の子だった。両側の耳の後ろでふたつに髪を結ってたばねている。
2009-12-01 19:18